セルフ・ツッコミができない人は、整わない。
ツッコミは、思考をほぐし、人生を問い直す静かな起爆剤だった──。
“答え”を出そうとすればするほど、なぜか行き詰まる。
それは、セルフ・ツッコミが不足しているのかもしれません。
「先生、何がしたいか、何をしたらいいのか、わからないんです」
涙が出そうになるのを堪えながら、少し笑って、でも目は真剣で。
そのとき私は、言葉ではなく、空気の変化を感じました。
医学的な治療方針でも、人生の選択でも──
正しいはずの“答え”が、自分の中でまったく響かないことがあります。
私はこの瞬間に、気づきました。
もしかしたら、私たちは「正しい答え」ではなく、
“本当の答え”を探しているのではないか?
私は医師ですが、今はツッコミを教える仕事をしています。
処方箋を出す代わりに、
その人の中に眠っている「考える力」に火をつけるような問いを、そっと差し出します。
他の人から見たら、生活も仕事も異常なし。
健康診断の結果もある程度大丈夫で、薬も要らない。
でも、心のどこかが“スッキリしていない”。
私はその人に、何かを診断したり、アドバイスするよりも先に、
ひとつだけ、静かにこう尋ねました。
「ねえ、それやってて、めっちゃ楽しいですか?
あなたにとって、めっちゃオモロイことって、なんですか?」
問いは、答えよりも先にある
私たちは、すぐに“答え”を出さなければならない世界に生きています。
仕事、育児、介護、人間関係。
周囲の期待や常識に応えるように、自分を動かし続けてきた女性たちほど、
「もうこれ以上、考えたくない」と思っていても不思議ではありません。
でも、そんなときこそ。
答えではなく、問いを置くことが必要だと私は思うのです。
なぜなら、問いには整える力があるから。
答えを探すのではなく、
ただ自分の中に問いを置いておくだけで、
人は、勝手に“整い始める”のです。
医師なのに、問いしか出さなくなった理由
私はもともと、手術を得意とする整形外科医でした。
スタンフォード大学でスポーツ医学を学び、
患者さんを“治す”ことに誇りを感じていました。
でも、視力の限界が来て、手術をやめる決断をしたとき、
同時に気づいてしまったのです。
本当に人が癒える瞬間って、
治療の途中ではなく、“自分自身の中に気づきが起きたとき”なんだと。
その「気づき」は、誰かからのアドバイスではなく、
その人自身が、自分に投げかけた問いによってしか生まれません。
だから私は、「治すこと」から「問い直すこと」へと軸足を変える決意をしました。
だから私は、問いを“処方”するようになった
私が行っているスラトレ®(Thriveトレーニング®)は、
思考と感性の両方を育てながら、自分を“整えていく”ためのメソッドです。
そこでは診断も、説教もありません。
代わりに、あなたの中にそっと問いを置いていきます。
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今、何に違和感を覚えている?
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本当は、どう在りたかった?
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何を「やらなきゃ」で埋めている?
問いには、自分を見失わないための重力があります。
人は、問いがあるだけで軸に戻れる。
問いがあるだけで、静かに目を覚ますことができるのです。
おわりに:答えを出さなくても、ちゃんと進んでいる
高学歴や富裕層と呼ばれるお立場にある方ほど、
“答えを出し続けてきた人生”を送ってこられたのではないでしょうか。しっかりと周りの期待に答えた優等生なのです。でももし今、少ししんどいのなら、
これから先に必要なのは、
“問いとともに生きる余白”かもしれません。
「このままでいいのか?」という違和感も、
それ自体が、すでに尊い問いなのです。
答えは急がなくていい。
問いの中に身を置くことを、自分に許してあげてください。
そしてもし、あなたの中に
「そろそろ、自分を整え直したい」という声が響いてきたとしたら、
それは、人生の新しい季節の合図かもしれません。
私と一緒に、“問いのある日常”を始めてみませんか。
🕊 次回予告
「あんた、何してんの?」は、最強のリセットボタン |
自分を笑える視点を持つことで、深刻グセから解放される話 |