「このままでいいんですよ」
「もっと自分を認めてあげてください」
そう言われて、心がふっと軽くなることもあれば、
逆に「いや、でも……」と、どこか引っかかるときもある。中には、「うっせーよ」とプチッとくる方も。
そう感じるのは、あなたがまじめに、ちゃんと向き合ってきた証拠です。私もそれはそれはまじめに生きてきました。擦り切れるほどにね...
“理想の自分”と、“今の自分”の間にある距離感
誰しも、なりたい自分像があります。
もっと優しくなりたい、もっと強くありたい。
時間を無駄にしない人でいたいし、もっと社会の役に立ちたい。
でも、現実は──
寝坊した。
今日も先延ばしにした。
あの言葉、言いすぎたかも。
そういう日常の「ちょっとしたズレ」が、
積み重なると「自分が嫌いになる」材料になっていきます。
「ありのまま」って、どこまで許していいの?
「もっと自分に優しくしていい」
「そのままでも価値がある」
そう言われると、うれしい反面、少し怖くなる。
“このままでいい”に甘えてしまったら、怠けてしまいそう。
でも、頑張り続けてたら、しんどくて壊れそう。
でも、変なふわふわした人にはなりたくない!!
そんなジレンマを感じたら、
あなたはもう「自分のあり方」に向き合いはじめている証拠です。
自己否定は、成長の“副作用”かもしれない
実は、自己否定が強くなるのは、
「変わりたい」という気持ちがちゃんとあるからこそ。
変わりたいからこそ、
“今の自分”に対してダメ出しをしてしまう。
だから大事なのは、
「今の自分を否定しないと、変われない」と思い込まないこと。
自己否定のままでは、
どんな成長も“義務”や“苦行”になってしまうからです。
やさしい問いは、変化を続ける力になる
問いは、「認める」ことと「変わりたい」気持ちの
ちょうどあいだに立ってくれる存在です。
たとえば:
- 
「今日の私は、何をよくやった?」
 - 
「今の私は、何を変えてみたい?」
 - 
「“このままの私”が笑えるとしたら、何をしてるとき?」
 
問いは、現状を否定するのではなく、
そこから「歩き出す道」を指し示してくれます。
おわりに:「整える」は、“足りない”を埋めることじゃない
私たちはよく「自分には何かが足りない」と感じてしまいます。
でも、整えるというのは、
“足りない何か”を詰め込むことではなくて、
“もうあるもの”を見つめ直すことなのかもしれません。
そして、変わろうとする自分を責めるのではなく、
変わらずにいる部分をも大切にできるようになったとき、
人は自然と、自分を信じられるようになるのです。
🎯今週の“考える力”の宿題
「最近、自分にダメ出ししたこと」をひとつ思い出してみてください。
そして、その出来事に対して、
「でも、そこにどんな“やさしさ”があった?」と問い直してみてください。
▶️次回予告
第14話|「やさしくしたいのに、キツく当たってしまう」 ──人との関係に出る“余裕のなさ”とどう向き合うか