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再現パターンを変える3つの問い|スラトレ®再設計ワーク

何度繰り返してきた反応を、今日から少しだけ、別のものに置き換えていく。本記事では、医師が、人生の中で繰り返してきたパターンを再設計するための3つの問いと、続けるためのコツをお伝えします。あらゆる手段を試してきた方にこそ、最後の選択肢として読んでいただきたい内容です。

Q1. なぜ「いきなり別の動き方」はできないのか

理論編・体験編を読み終えたあと、こんな感覚が残っている方が多いと思います。

「自分が同じパターンを繰り返していることは、もうわかった。でも、明日、似た場面が来たら、また同じ反応をしてしまう気がする」

頭で分かっても、行動が変わらない。これは、あなたの意志が弱いからではありません。

人の心は、何度も繰り返してきた反応を、最も省エネな反応として保存します。たとえば、長年通った道は、考えなくても歩けます。「右に曲がって、3つ目の信号で…」と意識しなくても、勝手に身体が運んでくれる。同じパターンの反応も、これと同じ状態になっています。何十年も、似た場面で似た反応を返してきた。だから、考える前に、その反応が出ている。

これを変えるというのは、長年通ってきた道を、ある日から別の道に変える、ということです。最初は、毎回意識しないと、無意識に古い道に足が向きます。いつもの道を歩く方が、ずっと楽だからです。新しい道を選ぶには、毎回、立ち止まって、意識的に方向を変える必要があります。

だから、「明日から、違う反応をしよう」と決意しただけでは、たいてい変わりません。決意の問題ではなく、毎回の選択を支える「小さな手順」が要ります。

必要なのは、知識でも決意でもなく、毎回の選択を、無理なく支える手順です。今日から、小さな場面で試せる手順。それを、これからお渡しします。

Q2. パターンの書き換えという考え方

実践に入る前に、ひとつだけ言葉を共有させてください。

これから紹介する3つの問いは、すべて「ある一つの作業」を進めるためのものです。その作業は、楽器の練習と似ています。

楽器を弾いていて、ある一節を、毎回間違って弾いてしまうとします。指が、その間違った動き方を覚えてしまっている。これを直すには、ゆっくりしたテンポで、正しい指の動きを何度も練習することになります。最初は、テンポを上げると、また古い間違いに戻ります。けれど、ゆっくりした正しい動きを十分繰り返してから、少しずつテンポを上げていくと、いつのまにか、新しい動きが定着します。

人の反応も、これと同じです。長年染みついた反応は、ゆっくりした場面で、新しい反応を試して、繰り返していく。最初から、本番の場面で違う反応をしようとしても、無理があります。練習の場面が要る。

そして、もう一つ大事なポイントがあります。古い反応を「消そう」とする必要はない、ということです。古い反応は、その人の人生の中で、それなりに役に立ってきた反応です。それを否定するのではなく、選べる反応の幅を「広げる」── そういう作業です。

この、繰り返してきた反応を、別のものに少しずつ置き換えていく実践を、私は次のような言葉で呼んでいます。

【パターンの書き換え】(ぱたーんのかきかえ / Pattern Reframing)とは、繰り返してきた反応を、別のものに置き換えていく実践のことです。

「書き換え」は、ゼロから新しいものを作るのではなく、すでにあるものを、別のものに書き直す、というニュアンスです。古い反応の上に、新しい反応を上書きしていく。何度も上書きを繰り返していくうちに、新しい反応が自然に出てくるようになる。そういうイメージです。

ここから先の3つの問いは、すべてこのパターンの書き換えを、無理なく進めていくためのものです。

Q3. 今日からできる3つの問い

ノートを1冊用意してください。スマホのメモでも構いません。

最近気づいた「自分の繰り返しているパターン」を1つ、思い浮かべてください。それは、人間関係でも、仕事の場面でも、家族との場面でも構いません。

ステップ1:そのパターンが出る瞬間を、できるだけ細かく書き出す

(目的:変化の出発点になる「小さな分岐点」を特定する)

「いつもこうしてしまう」というパターンを、漠然と眺めるのではなく、できるだけ細かく分解してください。

書き方の例:

  • どんな場面で出てくるか(会議の終わり、家での夕食時、メールを書く時、など)
  • 直前にどんな身体感覚があるか(胸が締まる、肩が上がる、息が止まる、など)
  • どんな感情が立ち上がっているか(焦り、怒り、申し訳なさ、責任感、など)
  • そして、自分はどう反応してしまうか(引き受ける、黙る、話を遮る、立ち去る、など)

ここで大事なのは、一行ずつ、別々に書くことです。一塊にまとめると、分岐点が見えなくなります。

「会議の終わり」「胸が締まる」「焦り」「結果として、また自分が引き受ける」── このように分けて書くと、その間に「分岐点」があることが、見えてきます。

ある経営者の方は、私との面談でこう話されました。「自分が何度もやってしまっていた『最後に責任を全部引き受ける』反応を分解してみたら、その直前にいつも『誰かが声を上げないかと数秒待つ瞬間』があることに気づいた。その数秒のところに、自分が何かをできる余地があった」と。

この「数秒の隙間」が、書き換えの出発点になります。

ステップ2:その瞬間に、書いた内容を声に出して読み返す

(目的:無意識の反応の中に、意識を入れる)

ステップ1で書いたメモを、繰り返しのパターンが出そうな場面に向かう前に、もう一度声に出して読んでください。声に出すのが大事です。

> 「私はこういう場面で、こういう感覚と一緒に、こう反応してしまうクセがある。今日は、その反応の手前で、一拍だけ立ち止まる」

そして、これを唱えてから、その場面に向かいます。

毎回、立ち止まれる、ということではありません。最初の何回かは、たぶん、また同じ反応が出てしまいます。けれど、出た後の感覚が、以前とは少し違うことに気づきます。「あ、また同じことやった」と気づける。気づけるだけでも、これまでとは違う変化です。

繰り返していくうちに、立ち止まれる瞬間が、少しずつ生まれてきます。最初は10回に1回。次は5回に1回。やがて、半分くらいの場面で、一拍が入るようになります。これが、パターンの書き換えのプロセスです。

ステップ3:一拍立ち止まれた時、別の反応を一つだけ試す

(目的:古い反応の上に、新しい反応を上書きする)

ステップ2の一拍が入った時、別の反応を一つだけ試してください。最初から劇的に違う反応をしようとしないでください。「いつもの反応より、ほんの少し違う反応」で十分です。

書き方の例:

  • いつも「全部引き受ける」と言っていた → 今回は「一晩考えさせてください」と言ってみる
  • いつも「黙る」を選んでいた → 今回は「自分はこう感じます」と一文だけ言ってみる
  • いつも「すぐ返信する」を選んでいた → 今回は「明日返信します」と一拍置いてみる

劇的な変化を狙うと、続きません。「ほんの少しだけ、違う」を狙ってください。1回できたら、2回目はもう少しできるようになります。3回続いたら、それは新しい反応として、心に少しずつ刻まれていきます。

ある医師の方は、いつも「人から頼まれると、すぐに引き受けてしまう」パターンに気づき、書き換えに取り組まれました。最初の3ヶ月は、ほとんど変化が見えなかった、と話されていました。けれど6ヶ月目に、初めて「少し時間をください」と即答せずに済んだ場面があった。その時の感覚を、その方はこう表現されました。「あ、私、選べたんだ」と。それから、「選べる」場面が、少しずつ増えていったそうです。※個人の感想であり、効果を保証するものではありません。

これが、3ステップです。分解する → 声に出して読む → 一拍の中で別の反応を試す。それぞれの手順は、毎回数分。最初の負荷はこれで十分です。

Q4. 続けるためのコツ

完璧にやろうとしない

長年染みついたパターンは、3ヶ月や半年で変わるものではありません。「変わらない」と感じる時期が、たいてい、最初の数ヶ月続きます。

そこで止めてしまう方が、最も多いです。けれど、変わらないように見える時期にも、心の中では、ゆっくりと変化が進んでいることが多いです。「気づける回数が増えた」「気づくのが少し早くなった」── こういう小さな変化を、変化として認めてあげてください。

古い反応を否定しない

古い反応は、その人の人生の中で、それなりに役に立ってきた反応です。たとえば「黙って引き受ける」反応は、子どもの頃の家族関係の中で、その方を守ってきた反応かもしれません。「黙る」反応がなかったら、もっと傷ついていたかもしれない。

だから、古い反応を「悪い」と否定しないでください。「ありがとう、もう手放してもいいかな」という温度感で、ゆっくり手放していく方が、結果として深い変化になります。

独りで抱え込まなくてよい

ここまで実践してみても、変化の手応えがつかめない、という方もいらっしゃると思います。それは、努力が足りないからではありません。長年染みついたパターンには、その人の人生のかなり深い場所までつながっている根があります。独りで全体を見ようとすると、視界が足りなくなることがあります。

シリーズ内には、理論編の同じパターンの再現性|医師が解説する繰り返す人生の構造、体験編の気づいたら、また同じ役を演じている自分もあわせてご用意しています。関連する実践として、シチュエーションを鏡として読む3つの問い未完了課題を扱う3つの問い|スラトレ®内省ワーク、そしてシリーズ核心:待つ筋力を育てる最終実践|やえこふクリニックの選択肢もご用意しています。独りで読み進めながら整理してみるのも、一つの選び方です。

それでも独りで進めるには重い、と感じる時は、専門家と一緒に整理する選択肢があります。


経営者・医師・リーダーのための面談という選択肢

やえこふクリニックでは、経営者・医師・リーダーの方向けに、Dr.EKO博士(医師・医学博士)が直接対応する個別面談をお受けしています。長年染みついたパターンを、専門家と一緒に再設計していきたい方のための場です。

「あらゆる手段を試したけれど、もう一度、同じ場所をぐるぐる回ることなく、人生の流れを少しずつ変えていきたい」「自分のパターンを、責めずに、観察と理解の中で見直したい」。そういう方のための予約フォームを、下記にご案内します。

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まとめ

  • パターンの書き換えは、繰り返してきた反応を、別のものに置き換えていく実践
  • 鍛え方は、分解する → 声に出して読む → 一拍の中で別の反応を試す、の3ステップ
  • いきなり劇的な変化は狙わない。「ほんの少しだけ違う反応」を選ぶのがコツ
  • 古い反応を否定しない。「ありがとう、もう手放してもいい」の温度感で
  • 独りで抱え込まなくてよい。専門家と一緒に整理する選択肢があります

監修:Dr.EKO博士(医師・医学博士・株式会社ヤエコフ代表)

免責事項: 本記事は、メンタル思考トレーニングおよびセルフケアに関する情報提供を目的とした内容です。医療行為・心理療法ではありません。重い症状が出ている方は必ず医療機関を受診してください。スラトレ®は、医師が開発したメンタル思考トレーニングです。

最終更新:2026年5月

Dr.EKO博士
Dr.EKO博士(YAEKOFU)
医師・医学博士。スタンフォード大学でEIを学び、スラトレ®(メンタル思考トレーニング)を創始。エグゼクティブ・医師・リーダーの心身パフォーマンス向上を支援しています。